目次
総評
点数:4.4 / 10.0
触り程度であれば問題無いが、クリア評価、ランキングやミッションなどの作りが非常に悪く、真面目に遊ぶほど粗が見えてくる。
クリア状況
プレイ時間:約39時間
コイン75万枚・100万枚のミッションを除いたプレイ時間は約24時間。それらミッションは連射コントローラーを使って約15時間ほどかかった。
ゲーム概要
スマホ広告などでよく見かけるゲームを実際に遊べるようにしたミニゲーム集。収録ゲームは5つで、棒人間をお宝に導いたり敵から守る「ピンぬき」、低い数字の敵を倒して強くなる「すうじタワー」、倉庫番のように駐車場から車を出す「クルマだし」、お金を集めたりお金で障害物を乗り越えたりする「マネーあつめ」、様々な色の薬品を一つの試験管にまとめる「カラーわけ」。
様々なミッションや、各問に時間やスコアによる3段階の評価といったやりこみ要素がある。各問やミッションクリアによって得られるコインでガシャを回して「プレート」や「しょうごう」を獲得、自分だけのネームプレートを作成でき、毎月更新のランキングで公開できる。
レビュー
多少割高な広告ゲーム集
広告のゲームが遊べるコンセプトは面白いが、満足度は低かった。収録問題数について、ピン抜きが100問、すうじタワー・カラーわけが50問、他が25問ずつとバランスが悪く、ゲームによってはボリュームが少ない。クリア評価やミッションといったやりこみ要素もあるが、作風に反して要求値が妙に厳しかったり運要素が強いことによるリトライ回数が多いうえ、逐一挟まる演出が長いためダレやすい。ただし一通りはあまり問題なく遊べるため、評価やミッションを無視するならば多少割高なソフト程度の印象。
やや軽めなおふざけ感
全体的に低年齢層向けに感じた。文章全てひらがなであり、説明文も砕けた感じの文章となっている。BGMやSEもYoutuberたちが使用している聞き馴染みのあるコミカルなものがあり、ややバカゲーのノリを感じた。一方で、題材にしているゲームの大部分はパズル要素が強く、特に「すうじタワー」のBGMが顕著だが各ゲームのBGMは大人し目、各種演出も淡白気味と盛り上がりに欠ける。
演出時間の長さ
様々な演出時間等が長い。例えば、「すうじタワー」では階層を決定後、棒人間が移動・攻撃・敵が倒れる・移動と一連の流れに2~3秒、この時間が敵の数だけかかる。「マネーあつめ」はクリア時に所持金(スコア)に応じて棒人間がお金の階段を上る演出が入るが、スコアが高いほど階段も高くなるため、クリアからリザルト画面まで5秒程度かかる場合がある。加えて、クリア時やガシャの演出もスキップが出来ない。通常プレイでも演出時間の長さは気になり、特にクリア回数やコイン取得数のミッションではそれが原因でプレイ時間が延びていると思われる。
クリア判定の問題
一部ゲームのクリア時間決定のタイミングに納得感が無かった。「すうじタワー」では敵が倒れて棒人間がガッツポーズを終えた時点、「クルマだし」では駐車場から出た先のゲートを超えた時点であり、最後の一手の決定とクリア判定に時間のズレがある。「マネーあつめ」以外のクリア評価の基準がクリア時間であり、このズレもクリア評価に影響する。特に「クルマだし」にて、連続で駐車場からクルマを出す時、出口でクルマがスタックし渋滞する場合がある。この時点でクルマは駐車場を出ているがゲートを通過していない=クリア前であるため、渋滞した分だけクリア時間が延びる。プレイヤー側の操作が完了した時点からの時間経過も評価に影響する点は納得感が無く、クリア評価やランキングのミッションを攻略する妨げにもなった。
タイトル通りにした弊害
タイトル通りに棒人間をゲームに出演させた結果、「カラーわけ」と「クルマだし」の作りが悪くなっている。
「カラーわけ」は右上のワイプでミス時やクリア時のリアクションのためだけに存在し、ギミック的な役割が一切無いため、端的に言えば時間を要するだけの存在になっている。
「クルマだし」では、ヤンキーくんという動く障害物として登場するが、かなり噛み合わせが悪かった。まず「クルマだし」はパズル要素が強く、他ゲームと比較してもクリアまでに手順が多い。次に、ヤンキーくんはクルマと接触するとミスとなるため、ヤンキーくんに触れないタイミングでクルマを動かす必要が出る。これらの組み合わせの実態として、元がアクションゲームではないため避け方を工夫できる訳ではなく、ヤンキーくんとのタイミングを計る、逆に言えばヤンキーくんが居る間はクルマを動かせない状態となるため、単に足止め的な側面が強い。また、手順の終盤で通るべき出口にヤンキーくんを配置といった、かなりいやらしい問題もあり不快な印象も強い。
シビアで作りの悪い「マネーあつめ」
クリア評価やミッションを目標に考えた時、「マネーあつめ」の作りがあまり良くなかった。
まず「マネーあつめ」の説明として、棒人間は自動的に前進してお金を拾い集めるが、障害物と接触するとお金を落としたりミスとなるため、お金を消費して階段を作って避ける必要がある。ミス無くゴールにたどり着けばクリアとなり、その時の所持金がクリア評価となる。
クリア評価やミッションを目標に考えた時、ほぼ必要最低数の消費で最高評価となる問題、ある値ちょうどでゴールするといったミッションが存在するため、獲得金額と消費金額のシビアな調整が必要だがいくつか問題がある。まずUIについて、最高評価の目標値が分からないうえ、獲得・消費時の金額の増減が表示されない。ゴール時や獲得・消費時の所持金の差分から判別できるものの、今作の発売時期と厳密なスコア要求を見ると不親切な設計と思える。また消費を調整するために階段を1段ずつ作るテクニックが必要だが、棒人間が前進するスピードが速いのか暴発して2段になりやすい。加えて、棒人間が自動移動かつクォータービュー気味で距離感や高低差が把握しにくいため、正確な位置に階段を作りにくい。その上、ギミックとして確率でお金が増減するゲートも存在するため、技術だけでなく運要素も絡んでくる。
やりこみ要素とはいえ、プレイヤー側が不自由かつUI等の不親切さによる難易度の高さとなっており、攻略していて楽しくはなかった。
ランダム要素が強いランキング
ランキングはランダムに選出された問題をクリアしていきクリア評価の合計を競うが、問題ごとに獲得できるクリア評価の差異が大きいうえ、その差異が考慮された選出ではないため運要素がかなり強い。ランキングの難易度、その中の1問目~3問目で選出される問題に区分はあるように見えるものの、その区分内で差があるのは事実であり、結局は選出される問題次第の順位となってしまっている。評価基準がクリア時間のゲームは上述の演出時間が大きく影響するため、演出が少ない=手数の少ない問題がランキングでは有利となる。また「マネーあつめ」ではお金が増減するゲートで評価が大きく変わるため運要素がさらに重なる。報酬が無いためランキング上位を獲る意味は無いものの、プレイヤーのスキルよりも運の影響度が大きいランキングは悪い作りだと思った。